2009年10月 8日 (木曜日)

生活の柄

一人暮らしの老人が夫との思いでもあり、部屋に花を飾っていた。

(障害もあり自分ではできないので)花の水を替えたいとヘルパーに頼んだところ、「介護保険外のことなのでできません」と言われ、事業所からも「叱られた」と、新聞の投稿にあった。

介護保険で適応される仕事とは何だろう。

日常の買い物は(プランに入っていれば)保険が適応される。

しかし、買うものが日常以外のものなら、「介護保険以外のことなのでできません」と言われる。

では、日常と日常以外の仕事の境は明確になっているのだろうか?

もちろん、何処までか分かっている事業者やヘルパーはいない。

生活の支援という場合、生活とは何だろう。

このヘルパーにとって生活は、ある「枠」の中で生きることだったと想像されが、目の前の人の生活までは想像できなかった。

つまり、イメージの貧困と専門性の欠如が課題であった。

その人の生活をイメージできれば、課題を解決することができるかもしれない。

この場合、「介護保険外のこと」という枠で考えるのであれば、「自費」でできる。

マクドナルドが「スマイルを0円で売るように、水替えを0円でやることも出来る。

その場合、水を替えることが目も前の人の生活にとって「必要であり重要な行為」だというアセスメントが必要であり、それを見立てる専門性がいる。

厚労省も、一律に介護保険を制限している訳ではないといい、その解釈は専門的な判断に委ねると説明している。

さらに、この人の気持ちは、「花の水替え」で解決できるものでないことは想像できる。

心のすき間を埋めるためのプランが必要であり、ケアマネジャーの出番だといえる。

来週ケアマネ研修の講師を予定しているので、この話をしたい。

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2009年2月 2日 (月曜日)

心配性のケアマネ

ケアマネから電話を貰った。

「今後のことをどうしましょうか?」と聞かれた。

何のことか分からず、黙って話を聞いていたら。

弘子さん(仮名)のことらしい。

弘子さんが先日階段から落ち、物忘れもあるので、一人暮らしが心配だということらしい。

「有料ホームを検討した方がいいでしょうか?」という。

「まだいいでしょう」というと。

そんなことではいけないというような雰囲気だ。

一人暮らしが大変だからケアマネが支援しているので、一人暮らしが大変だから施設へという気持ちにはならない。

それに、その話は本人とすべきことだと思うと話した。

熱心なケアマネさんが陥りやすい巻き込まれがここにあると感じる。

仕事をすることに熱心なあまり、先を急いでしまう。

在宅で生活することに本人が困るのではないか。そう感じて、家族にそのことを話すと家族は「心配だ」という。

では、何とかしなくてはと仕事を始める。

在宅の次は、施設ということになる。なぜだか、そう考える。

施設に入ると、安心できるという。

誰が安心できるのかを考えていない。

それは、本人に聞いて欲しい。

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2008年11月20日 (木曜日)

アセスメント(手話)

一日手話通訳の人に通訳をお願いして聞き取りを行った。

30年前に1年間手話を習ったことがあるが、殆ど覚えていない。

手話でのコミュニケーションを間近に見ていると、抽象的な概念を伝えることが難しそうに感じたが、実際は、僕の頭が固まっていることに気づいた。

手話を操る人と、僕の頭は違う動きをする。目で見て、言語かするのではなく、始めからイメージを具体化することができる能力を持っている人たちだと感じる。

コミュニケーションの90%は非言語的なメッセージだという。それを、言葉に置き換える作業をすることによって、抽象的な概念をつかむ。彼らは、はじめから抽象的なニュアンスを指・手の動きで表現できるとすれば、そままま自分の気持ちの機微を伝えることができる。

では、どうしたら、彼ら彼女らの世界が見えるのだろう。

通訳の人に聞いてみたら、私は、「彼らの側から考える」ようにしているといった。

彼らの側とは、彼らの世界に入ることで、その世界で考えることができればコミュニケーションは上達する。

これは、外国語を習うことや、宇宙人と話をする際にも有効だろう。

宇宙人と話す機会は少ないが、認知症の人のアセスメントをする事はある。

認知症の人のアセスメントは、認知症の人の世界から、こちらの世界を見ることにより可能になる。

実際に、手話を操る人の手の動きではなく、その人に注目して話を聞くようにすると、「はい、いいえ」の向こう側の、気持ちが見えるような気がした。

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2008年9月 5日 (金曜日)

人の仕事は取らない

ケアマネジャーの仕事は、ケアプランを作ること。

そんなことは分かっているのに、つい、利用者が抱える問題を一緒に抱えてしまう。

悩みは伝わってくる。それに、同じような波長も持つ人には、強く伝わる性質がある。

困っている人がいると、何とかしたいのは、自分が困るから。困っている人を見ていられないのは、自分の困った姿を見たくないから。

一番いい方法は、自分も困った人と同じ方向から見ること。すると、不思議に自分の問題は見えず、人の問題だけがはっきり見える。

他人の問題ほど、自分を楽にすることはない。

悩んでいる人を見るとホッとして、安心さえする。

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2007年9月24日 (月曜日)

聞くということ

アセスメント・シートを活用して、利用者の状態を把握すると、全体像がつかみやすい。

だからといって、シートに書いてある項目の質問をそのまましても、こちらに都合のいい回答が返ってくるとは限らない。むしろ、とんでもない答えが返ってくる方が多いのかもしれない。

また、質問項目に拘ると、「これも聞いておこう」と、ついつい順番に質問してしまい、話の流れを遮ってしまうことになる。

特に初回のアセスメントの場合、その目的を達成することに力を注ぎたい。

それは、利用者との関係を結ぶということだと思う。

知らない人同士が知り合いになるということは、何かを聞き出すという姿勢より、その人の印象や、行動、言動から感じられるものを記録することが初回のアセスメントの中心となる。

だから、シートは頭の中に入れておいたほうがいい。紙を見ずに利用者(お客さん)を見つめることが基本だろう。この点、デパートなどの接客業は徹底している。

量販店で成績のいい店員は、エレベーターから降りてきた客を捕まえ、瞬時にアセスメントをしている。5分後には商品の説明をし、10分後には、高価な家電を売っている。

アセスメントは、サービスを利用する側にとって有効なのもであるべきなのに、施設や事業者が利用者の情報を得るために収集しているところがある。

利用者主体を謳うのであれば、アセスメントは利用者がリードするなかで行われることが望ましい。

そんなことを考えながら、桃子さん(仮名)のアセスメントに立ち会った。

質問者と桃子さんの会話は噛み合わず、時間ばかりがどんどん過ぎていく。話を聞いていると、質問に対して絶妙な「切り替えし」と、「ぼけ」が入り、漫才を聞いているような会話になっている。

人間の大きさと人を見る力の差を感じた。

桃子さんは、アセスメントされているんじゃなく、質問者を「値踏み」しているように微笑んだ。

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2007年9月 2日 (日曜日)

情報

ケアマネ講座=その10

久しぶりである。
ケアマネジャーにアセスメントの話をするので、情報について考える。

情報というと、医療情報、生活情報、身体情報、環境情報、家族・・・と様々な情報がある。それらを集めることをアセスメントだと考える人が多いと思う。

ケアマネがアセスメントと言う場合、情報の量や中身だけでなく、利用者のプランを立てる上で必要なものをいう。つまり、必要でない情報は収集する必要はない。

では、必要な情報とは何か?

これは難しい。なぜなら、人によって違うから、又は、その時や場合により変わるからだ。

一般的には、情報を集め、分析してからプランを立てるというやり方が多いのかもしれない。一方、目標を達成するためにプランを考え、そのための情報を集めるというやり方もあるように思う。

情報は多い方がいいと考えがちで、ついつい、必要でない情報まで集めてしまう。
少ない情報でも想像すること、イメージをつかめるようになることは必要で、最初の面接から感じたことが一番重要な情報だったという場合もある。

情報に振りまわされないことが大切だろう。

例えば、

「認知症で、要介護・・、家族の介護負担が大きい」という情報が初めに入った場合、さて何を考えるだろう。

または、

「糖尿病でカロリー制限・・・、インシュリンの自己注射をしている」とか、

「都営住宅に住み、部屋の中がゴミだらけで、蠅やゴキブリが大量にいる」とか

「家族の中に介護保険を受けることを反対している者がいる」とか、

そうして情報は意味がある。
しかし、それだけである。それ以上の意味はない。

一番大切は情報は本人だろう。

本人の希望が情報を裏切ることはしばしばあることだ。

どんな情報も本人の存在がなければ何の意味もない。そういう意味では、本人からどれだけの情報が得られるかが重要で、面接がケアマネの基本だということがわかる。


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2006年10月 4日 (水曜日)

タイトルをつけよう

ケアマネ講座その9

ケース記録や日常の記録にタイトルをつけると内容がひと目で分かる。

タイトルをつけるポイントは、誰のことを書いているか。何が書かれているかの二つである。

誰もことって? 利用者の記録だから、利用者のことに決まっていると考えるだろうが、そうでもない。

特にケース記録は、利用者のことを書いているようで、実は自分の問題を取り上げていることが多い。

「・・さんの問題を受け止められない私のケース」何ていうのが多い。特に日本語は主語がないから、分かりにくい。誰の問題を、誰が関っているのかを明確にすることが大切。

そしてもう一つは、内容が分かるような素敵なタイトル。

ケース記録の場合、問題の整理や記録を纏めてから読み返し、気になった言葉をタイトルに入れるといい。

自分で気づかずに同じ言葉を使っていたり、普段使わない言葉を使ったりしている。無意識で拒否していたりするから、誰かに見てもらうと一番いい。

すると、こんな風になる。

「問題が複雑で(ケアマネが)どこから関っていいか分からないケース」

「息子の態度を(ケアマネが)許せない認知症の父と子のケース」

「在宅が困難なのに、(ケアマネが)施設入所を勧めても、それを拒否するケース」

なにか気づきませんか。

そう、殆どのケースの問題はケアマネ自身にあり、本人はあまり困っていないということ。

ほんとうに困っていれば、動きがとれ、それについていけばいいんです。

その動きが取れないから困るんです。

そして、このタイトルは、ずばり「タイトルをつけよう」。

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2006年9月27日 (水曜日)

質問

ケアマネ講座その8「質問」

アセスメントをする時、いろいろ聞きたくなる。医療情報も確認したい、家族はどうなっているのか、誰がキーパーソンなのか、また、若い時にはどんな仕事をしていたのか、何が好きで何が嫌いか。とにかく沢山の情報が欲しくなる。特に、新人のケアマネは情報を集めようと一所懸命となる。

ついつい、こっちの質問ばかりで、相手の話を聞いていなかったりする。

利用者が大切なことを言っても聞き逃したりする。そもそも何が大事なのかが分からないから、何を聞けばいいのか判断できない。

そんな時に、質問をしないことを考えて欲しい。

「質問をしなければ何にも分からないじゃないか」と言われる。そう、「分からない」。相手のことは「質問しても分からない」だったら、相手のペースで聞くほうがいい。

それには、質問をしないということが重要になる。

「聞かない」とどういうことが起きるか。利用者が話し始める。それを聴く。そして、大事だと思ったところを詳しく聞く。

「そこのところは大事だと思いますので、もう少し詳しく話してください」と言ってみる。言われたほうは、「このケアマネジャーは人の話をよく聴いてくれる。それに、言いたいことを聞いてくれる」と感じる。たぶん感じるだろう。

そうした会話を重ね、だんだん利用者のことが理解できる。

それ以上に、利用者も自分のことを話すことで、自分のことが理解できる。

人は、自分のことをよく分かっている訳ではない。だから、自分のことを話してもらうことは利用者の自立や主体性にとっても大事なことだ。

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2006年9月 6日 (水曜日)

見立て その2

見立てを考えている。

見立てとは、「様々な情報から、対象者の状況を推論する」ことだと思っている。

見立てをするうえで当面の問題は、電話や来所によりアプローチしてきた相談者の「来談理由」を推論しなければならないことだ。そして、その相談者が、これからどうなっていくのかを推論するために行動を起こすことになる。

見立てるためにはじめにすることは、情報を集めることだ。

断片的な情報を、その繋がり、関係性、流れ、重要性などを手がかりに「構造的」に理解することが必要となる。

情報は、主観的な情報、生活史、家族関係、観察所見、面接外所見などに分けて集める。

また、本人から得られる情報の他にも書類や、紹介状、関係者からの連絡、施設からの申し送りなども重要な情報となる。

ケアマネや福祉相談の初回は、面接より電話が多い。

「介護保険の申請をしたいんだが、どうしたら言いか教えて欲しい」

「母が倒れて、困っているから、ヘルパーをよこしてもらえないか」

「最近、一人でいることに自信がなくなってきた。外出も1週間できていない」

と訴えは様々である。

ワーカーは、「どうしました」と聞くことで、「実は・・・」と話が続く。

電話では、少ない情報から「見立て」を行わなければならない。

まず、緊急性があるか、生命や人権の侵害が起こっていないかなどをすぐに判断する必要がある。

また、訴えの主訴は、当事者の問題であることに注意しなければならない。

「母が動けなくて困っているんです」という訴えは、「母」が困っているのではなく、話をしている当事者が「困っている」と見立てる必要がある。

だから、「あなたが困っていることは・・・」と的確な質問をすることで状況を理解を深める。

また、「べつに、サービスを使いたい訳じゃないんですが」といいながら、なかなか電話を切らないのは、言葉の外に主訴が隠れていることを考えて、質問をする。

さらに、要点だけを聞く電話でも、経験から、「これは」と感じる所があればしっかり確認する。特に、勘を働かせるとこが重要だ。そして、なぜそう感じたのか、電話を切ってからその意味を考えよう。

次に、面接となる。

面接では、外見、姿勢、態度、表情、話し方、感情の表現、そして、会話の内容から様々な情報が入ってくる。

それをまた、構造化して理解し、「ここで、何が起こっているのか」、「これからどのように進んでいくだろうか」さらに、「どんな関わりができるだろうか」と見立てをしないといけない。

と、

次回、9月19日(火曜)の「ソーシャルワーカースキルアップ講座」は見立てを取り上げます。

どうぞご参加ください。

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2006年8月 9日 (水曜日)

要望について(その2)

ケアマネ講座その7

前回に引き続き要望ついて考える。

利用者に「どんなことを希望しますか」と聞いたとき、「お任せします」とか、「特に考えていません」という答えが一番多いのではないかと思う。

私たちは、はっきりした希望を持って生活している訳ではない。それに、面と向かって希望や要望を聞かれることもないので、何と答えていいのかわからない。

それに、困っていることはあっても、それを誰かにやってほしいのかと聞かれると、「そうでもない」と思ってしまう。

へルーパーを上手に使えるのはお手伝いさんをいつも雇っている人であり、デイサービスを楽しめるのは、倶楽部に良く通う人たちだ。

つまり、サービスを使って何がどう変わるのか想像できない。だから答えられない場合が多い。

すると、イメージが湧くように質問しないといけない。「・・・を使った場合、こんなことができますよ」とか、「・・・には、こういうプログラムがありますから、きっと身体の・・・には効果が生まれ、こうなりますよ」という具合に。

もう一つ、いけないのは、答えを急ぎすぎること。質問をしたら、相手が答えるまで待たなければならない。「・・・」無言も返事であり、そのまま尊重する必要がある。

それに、要望の把握は言葉だけではない。利用者のそれまでの生活や質問をした反応や今までの人生経験からも要望はつかめる。それを本人が自覚できるように、また、自分の言葉として表現できるように聞き出すことがケアマネの仕事だ。

ケアマネが聞きたいことを聞くのではなく、利用者が言いたいとこを質問することで、「私は、それを希望している」と感じ、実際のプランに入れることが大切になる。

インタビューは、発言者より質問者がよく勉強しているといい発言が引き出せるという。

要望の聞き取りも、下調べが大切。高齢者に要望を聞いたとき、「人生に対する希望を聞き出せるなんて10年早いわよ」と言われるのが落ちだ。

「あなたなんかには、私の希望が分からないでしょ」と言われたらしめたもの。

「はい、分かりません。分からないので是非聞かせてください」と、毎月、その方の人生についての講義を聞こう。

きっと勉強になりますよ。

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