2015年11月29日 (日曜日)

戯夢人生 The Puppetmaster

日本占領下の台湾。人形遣いの人生を通して20世紀の台湾を、そして台湾人から日本をみる。
ホウ・シャオシェンの研究家の講演と監督自身もゲストとして自らの映画を語った。まったく贅沢な時間だった。

映画は李さんの子供時代から始まる。家に日本人が現れ、弁髪を切るように言う。それは、命令であり、その見返りに芝居の券を渡す。

こうした占領下における文化の押し付けは台湾だけで行われたのではない。その事実より、事実を伝えていない日本が恐ろしい。
物語として歴史を語るとき、人の数だけストリーはあるだろう。だからこそ、様々な物語を語り続けることが大切だ。それが無かったかのように、あるいは、数の問題にすり替えようとするのは、物事の本質から離れる。

その後で見た「念念」は、台湾の現代を映した映像である。
しかし、歴史の積み重ねが人間に様々な影響を与えている。それは、私たちにも言えることだろう。
私たちは加害者であり、同時に被害者である。

念念では、親の離婚が子どもの人生に大きな影響を与える。しかし、その親世代、そのまた親世代という世代間の連鎖がこの現象を生んでいることも事実だろう。

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タロル

東京フィルメックス優秀書をとったタルロを観た。
チベットの物語、しかし、それは中国の統治下の中国青海省。
タルロは「三つ編み」というニックネームがある。三つ編みは遊牧民である自分のアイデンティティーであり、そう呼ばれることを気に入っている。
ある日、警察からIDカードを取るように言われ、警察署に向かう。そこで、毛沢東語録を暗唱して見せる。しかし、証明書写真を持っていないタルロに町の写真館に行くように促す。子羊を抱え写真館に顔を出したタルロに、写真館の主人はボサボサ頭を洗ってくるように言う。
そこで、写真館の前にあった理髪店に入り、そこから物語は始まる。

遊牧民であるタルロは、山の中では生き生きしている。羊の数を増やし数百頭の羊をコントロールする力を持っている。一人でいることにも耐えられる力を持っている。しかし、町に出ると町のパワーに、女の魅力に吸い寄せられ、パワーを奪われるようにフラフラになる。この辺は黒沢のデルスウザーラの老人のようである。

自分が老人に近くなり、死というものの影を感じるようになると、そのことより大きな力に吸い込まれるように感じる。もがいても追い払ってもそれは逃げ出さない。

これまでのようにこれから先も生きることは難しい。

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2015年6月 5日 (金曜日)

Magic in the moon light

後味のいい映画だった。

でも、どうして可愛い子にばかり男性は恋をするのだろうか。
男性なら、少しぐらい崩れていてもそれなりに味がある人を演じたりするのに、女優はみな同じようなパターンである。

まあ、エマ・ストーンなら仕方がないか。
あと、30年ぐいたつと変わってくるかもしれないけど。

マジシャンが、霊媒師のネタを暴きに行くが、見事に騙される話。

それだけだけど、会話がいいね。

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2015年5月 4日 (月曜日)

人間の値打ち

イタリア映画祭が今年も楽しい。

文化の違いをしるためには旅が一番いいが、映画も同様だと思っている。
現代イタリアが抱える問題を正面から捉えようとする製作者の視線は鋭く、そして絶望的でもある。
これは、21世紀という時代の空気だろうか、ヨーロッパの閉塞感が出ている。
それでも日本人より人生には、あくまで楽天的に向き合い、食べることと愛を語ることにはいつでも積極的である。
そう、アベさんからは愛を感じないのは、それを持っていないからというより、優先順位が低いからだろうと思う。
金や仕事がなくても愛が大事な国と、経済と国家が一番だと信じている国の違いだろう。

さて、映画は自動車事故を取り巻く関係者の人生を振り返ることで物語ができている。この手法は黒澤の「羅生門」的でもある。しかし、人生の捉え方が全く違っている。

この視点の違いは、人生観の違いが大きく影響している。ここでいう人生観は、それまでの人生を構成してきたすべてのものの違いでもある。

分かり合えないことが起きたとき、時間を巻き戻して多面的な振り返りをしてみたくなった。

それでも何かが変わるわけではなく、ただ、ふーんと大きなため息が出るだけだろうけど。

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2014年10月12日 (日曜日)

中年の危機

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弁当の映画ではない。
中年の危機のんびり映画だ。

中年おじさん、丁度僕ぐらいの、人生の終わりまではもう少しあるが、それでも具体的な未来を描けない。
それは国や政治の問題ではなく、人間の問題。

だから、インドでも日本でもどこでも同じことが起きている。

むしろ、経済的な豊かさを感じ始めたインドだからこそ、この人生の虚しさを実感しているのかもしれない。

踊を踊れば、そんな気持ちも吹き飛ぶのに。

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沈黙

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二時間の礼拝。
それは、始まりも終わりもなく、ただ時間が過ぎていく。
そんなフランスの山の中。
しかも、懐かしさを感じる。

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2014年6月 4日 (水曜日)

philomena

邦題「あなたを抱きしめる日まで」

映画に邦題をつけると分かりやすくなるようで、本来伝えたかった深い意味を見失うことがある。
主人公は修道院で出産、その子どもは知らぬ間にアメリカに渡る。
シスターたちは子どもを売買したのだろうか?
子どもたちの人生はどうなったのか?
フェロメナ(主人公は)は、ジャーナリストと出会い、一緒に子どもの人生を辿る旅に出る。
映画を見ていて一人の母親を想い出した。
当時彼女は僕と同世代だった。
子どもを産み、父親は逃げ出し、子育てに困っていた。
施設に預け、僕の居る寮舎で暮らすことになった。
その子が、里子に出ることになり、母親にその話をした。
その後、一度も施設を訪ねてくることがない母親とフェロメナの表情が重なる。

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2014年5月13日 (火曜日)

ネブラスカ

Image アメリカの西部劇みたいなロードムービーだった。 観終わった後に爽快な感覚残った。 父親が子どもに何かを残したいと考えていた。 そんなものである。 僕の父は、何も残さなかったと思っていた。 この映画を観て、そうでもない、彼の人生をのこしてくれたことに気がついた。 これが時々僕の人生にコミットしてくる。

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2014年5月11日 (日曜日)

誰も死なない映画

誰も死なないイタリア映画が好きだ。 テーマは人生である。 人生だから最後は死で終わるけど、そこまでのストーリーや必然性がある。 刺激は少ないが、影響は大きい。 その意味では日本映画も好きだ。 最近、相棒をみた。 期待に反して刺激的だった。 それは、内容より作品を作ったスタッフ、脚本について。 今の日本の状況をこんなに上手く物語っている作品を、エンターテインメントとして見せようとするスタッフに拍手を送りたい。 人と殺す映画が現実的に産業として巨大化しているハリウッドや兵器産業持つアメリカと運命を共にすることを選ぶのかが問われている時、 個別的であろうと、自衛のためであろうと、戦争は人を殺し殺される行為である。 考えるとしたら、どのように戦争を起こさないかを作るシステムなのに。 水谷さんの力は余りにも小さい。 それはみていて直ぐに分かる。だからこそ、その小さな力に期待する。 と、同時に、僕たちの小さな力にも。

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2014年4月11日 (金曜日)

saving Mr Banks

デズニーの..という邦題がついているが、これは最悪、映画の内容を伝えないだけでなく、本作のイメージをも壊してしまっている。

メリーポピンズの作者トラヴァースの物語である。ディズニー氏との交流はサブストーリーであり、メインストリームは、親子の葛藤である。

子ども時代のトラバースは、自由で永遠の少年のような父親に夢中である。父親に愛されようと健気にふるまう。

一方、父親は社会とうまく付き合えず酒ばかり飲んでいる。銀行員という仕事を棒に振り、家庭を崩壊させる。

子どもにとってダメな父親でも、その関係が悪いのは自分のせいだと思う。子どもは親に認められることで生きる力を貰う。
それは、朝ドラでも同じ。

さらに、そも父親が若くして、彼女が八歳の時、亡くなってしまう。これは相当なショックだった。その想い出を埋めるために本を書く必要があったのだろう。

つまり、自分の中の父親的なもの、どうしようもない悪を見ているトラバースは、父親を救うと共に、自分を救うとことを願っていた。この辺が、多くの観客の共感を呼ぶ。
親との関係を考えれば沢山の思い出が浮かんでくるし、その中にはかなり重たい出来事も多い。

そして、この映画のクライマックス、個人的にはここだと思う、それは、ディズニーが自分の子ども時代を語る場面だ。

彼も、父親的なものとの葛藤を抱えて生きていた。
彼の場合は、楽しい家庭であり、それを実現する場所がディズニーランドだった。
そう考えると、ディズニーランドは楽し場所であると同時に、悲しい場所でもある。
本当の夢の国を作るためには、現実から離れなければならないという逆説的な悲しさがある。

僕たちが毎日行っていることの多くは、子ども時代の補償みたいなものだ。
足りない部分をいつか付け加えたいと願って生きている。

だから、凧が飛んだ時には涙が出るんだろう。

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