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2016年9月20日 (火曜日)

オープンダイアローグ

彼女は、突然入院させられた。

支援者の視点は、自宅で生活上の課題を抱え、生命の危機にある状態だ。放置することはできないと医療保護入院を判断した。
その判断が正しかったのか間違っていたのかは分からない。放置することで生命の危機を迎えたことも予想されるし、放置する中で、自力で生きる力を出すことも考えられる。
しかし、彼女の認知は、他人が土足で玄関から上がってきて拉致された、というものである。
入院後、病名を知りたがった。
病院の認識では、保護され、妄想があり、話す内容も支離滅裂である。服薬と行動制限で安定を図るという方針を立て、詳しい説明をしないまま、話をしても、医師の言葉を伝えただけで、本人との対話は行われない。
病名を知らないまま、入院は続く。保護した際に、入院費を支払う能力がないと判断し生活程を開始、しかし、土地と建物があり、資産がると判断する。生活保護をかけるが、支払いの能力があるので資金援助(無利子で貸す)する決定をする。
さらに、健康保険の手続きをしていないので、入院費は10割負担となる。
つまり、本人の同意がないまま、毎月40万程の入院費を払うことになる。
入院は続き、本人は病気だと覆っていない、医師は、病名を付けないまま、治療をする。
10か月たったころ支援者が決まる。
ここから、彼女との話(対話)が始まる。
初回の面談では、飛び出す言葉が多すぎ、断片的な単語のみ理解できるが、ストリーが分からない。ただ、助けてほしい、病院は信頼できないというメッセージを受けtとる。
面会を続ける。庭を散歩する、喫茶コーナーでお茶を飲む、車で外出する、お昼を食べる、施設を見学する。
外に出て驚いたことは、会話が上手だということ、交渉力があり相手を気遣う配慮をする。
病院内では患者としてふるまい、外では客としてふるまう力を持っている。
その力が出てくるのは、様々な場面を通じて、昔の力を取り戻すようにしている。
退院を拒否する。
医師は、退院できるだろうという。それは、服薬の必要がなくても生活ができること、問題行動が減ったことを指している。しかし、彼女の世界で帰宅できないことを理解しない。
彼女の取って、退院することは前の世界に変えることであり、言葉を失う世界の戻ることでもある。自宅では対話がない、近隣住民との戦いが待っている。食事や掃除はできない、できないことばかりが待っている。病院の不自由な世界の中が自由な世界と感じる。
強制的に退院させられる。入る時も出るときも強引でしか移れない。
結果として、新しい世界に入る。新しい世界では、新しい交流が生まれ、新しい交流は昔の力を使って生きるすべを想起させた。
彼女との対話は続いている。
冗談をいうと、そんなつまらない冗談を言うなという。僕の洋服が派手だという。

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