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2014年4月13日 (日曜日)

一枚の名刺を見ている

ここに一枚の名刺がある。

名刺の持ち主は生命保険会社で働き、一軒家を持った。

景気が良かった時代である。着るものや食べるものにこだわり、それなりの生活を送っていたと思われる。

彼女は結婚をしなかった。それは、結果として結婚をしなかったのであり、そこに意味を見出すこともなかった。

従って、子どもはいない。

一人で暮らし、窓の外を通り過ぎる猫に餌を上げることが趣味だった。どんなに餌をあげてもなつかない猫を見ていると自分の事を考えた。

彼女は友達がいない訳ではない。むしろ、沢山いた。それは、昔の話だ。
今は一人である。

一人が嫌ではない。しかし、友達という人から一人は寂しいでしょと言われる。老人ホームというところで暮らすように何度も誘われ、仕方なく承諾した。

その時は気が弱くなていた。

ホームに暮らし始めてすぐに自分には合わないと感じた。何がということではなく、なんとなくである。

その、なんとなくは、毎日大きくなりどんどん苦しくなってきた。

それで、ホームから逃げた。彼女はただ、家に帰ったらだけなのに、脱走したと言われた。

それから、一人暮らしをはじめた。

誰にも助けてもらわず、自分のお金で自由に暮らしはじめた。

だんだん家から出なくなった。そのうち、ベッドから出なくなった。

いろんな人がいる家に来るようになった。食事を持ってきて、風呂にも入れてくれる。

そんな生活が何年も過ぎた。

彼女は孤独だとは思わない。このまま死んでも孤独氏だとは思わない。

ただ、一人で暮らしているだけだ。

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