« プロとスペシャリスト | トップページ | »

2013年10月12日 (土曜日)

あれはなんだったんだろう

不思議な体験は、後になってブクブクと浮かんでくる。
20台前半、北海道の道東を自転車で回った。釧路までフェリーで移動し、阿寒から根室、落石と。落石は、先輩のSWが退職後、心の痛みを癒すために滞在していた場所だった。
その釧路、阿寒に、30年ぶりに訪問。今回は一人旅ではない。クライアントの人生を振り返る旅だった。
予定はあっても、心情面では何が起きるか分からない。そして、実際に沢山の偶然と味わい深い出来事が次から次へとおきる。
私たちの記憶は、今ここで活性化する。だから物忘れがある人でも、人生の分岐点の場所へ行くと、昨日のように思い出す。さっき食べたかどうかを忘れてしまっても、50年前に食べた味はしっかり生きている。
それは、出逢う相手にとっても同様だ。
夫を戦争で亡くしたおばあさんは、はっきりとその場面を語る。語りは次の語りを産み、他人の子どもを4人も育てあげた自らの人生の意味を総括する。
「俺の人生はこれでよかったんだろうか」、答えの出ない問いかけばかりが車の中でこだまする。
ハンドルを握り、初めて会う人の話ばかり聞く僕は、何処か遠くの世界にいるようだ。
阿寒湖の夕陽をみていると涙が流れる。
ここはどこだろう。この旅は何なのだろう。

|

« プロとスペシャリスト | トップページ | »

あいまいの知」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« プロとスペシャリスト | トップページ | »