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2013年7月21日 (日曜日)

サイコドラマ その3

先生は、「今どこにいる」と聞く。そして何が見えるのかと。

僕は夜中の部屋で震えていた。

そして、僕は、象のタペストリーが僕を見ていた。

それは、想いだすのではなく、イメージとして迫ってきた。

そこからタペストリーの物語が始まる。

象は、学生時代に僕の所にやってきて、それ以来ずっと僕らを見下ろしている。そう、ちょうど僕が二十歳ぐらいの時であり、今の少年の年である。

僕は、悩んでいた。もう大人の年齢になっているにも関わらず、大人になれないと感じていた。

大人になれないだけではなく、生きていくことさえ難しいと感じていた。

その苦しみを誰かに伝えることもなく、アジアに旅立った。何もできないにもかかわらず、できることがあるというアンバランスな状態さえ理解できないでいた。

国境の街で像はつるされていた。

それは、力の象徴であり、宇宙のイメージを持っていた。12の動物が星座を表し、どこまで行っても回っている。

その旅から戻っても何も変わらなかった。しかし、時間だけがどんどん過ぎてゆき、いつしか大人になっていた。

そのタペストリーは、「変わらないもの」の象徴として、ぞっと見守ってくれていた。それは、「そのままでいい」というイメージを強く与えている。

さらに、先生は聞く。「他に見えるのもはないか?」と。

窓の外に木が生えている。その気が目に留まった。

その気は僕が意識をするかどうかということに関係なくそこに立っている。そんな存在があることにまったく気づかなかったので驚いた。

木は優しかった。その優しさに調子に乗って忘れてしまった。いや、分かっていて無視してきた。

木は二人の関係を知っていた、そして三人の関係を知っていた。

あまりに知っているので、そちらの方に背を向けていつも寝ていた。

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