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2011年5月 1日 (日曜日)

木の葉船

まじめにつつましく暮らしてきた老人の話を聞いた。

彼は、3人の妻と16人の孫を持ち、今は一人で暮らしている。

生業は漁師である。

毎年冬になると鍋に湯を沸かし、葉っぱを浮かべる。そして、その年の占いをする。

真冬の北の海は厳しい。

荒れ狂う海に負け、何艘もの難破船が浜に打ち上がる。

すると、どこからともなく人が集まり、船から荷物を運び出す。生きて浜に打ち上げられた人は誰もいないという。

そうして朽ち果てた難破船を指さしながら老人が語る。

老人の家にはアメリカ製の早打ち時計が飾ってある。

「これも難破船から奪ってきたのか」と問うと。

老人は黙っている。

そして、「俺が生まれる前から、この柱に掛っていたよ」と云う。

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