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2010年4月20日 (火曜日)

炬燵

おばあちゃんは掘ごたつに座っている。

炬燵の電気はついていないが、それなりにあったかい。

おばあちゃんの周りには、何人かの女性と、僕が座り、世間話をしている。時々笑い声が聞こえるのか、聞こえる声の方に耳を向け、「そうだね」と相槌を打つ。

炬燵の上のお茶は2回ほど取り替えたが、半分も減っていない。おばあちゃんに促すが、笑ってごまかされる。

トイレに行きたくないから、お茶はあまり飲まない。飲まないと決めているので、何を言っても聞こえないふりをする。

ここが一番好きで、誰かがいて、声が聞こえることで安心する。人がいなくなると捜しに出てしまう。出てしまうと帰って来れない。

家の外には別の世界があり、その世界にはなじめない。

炬燵の周りにはおばあちゃんの世界が広がる。その世界に浸りにヘルパーがやってくる。時間はたっぷりある。ずいぶん生きてきたので、そう焦ることはないという顔をする。

一日、そこで過ごしていると、ヘルパーは介護はせず、生活の一部となる。その世界にいるのに、いないような存在としてあることに努めている。

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