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2009年12月 7日 (月曜日)

たいていの人は自分の二十歳の日のことを覚えている

駐車場のスタンプを押してもらうために本屋で「めくらやなぎと眠る女」を買った。

短編を読み始めたら、二十歳の時の話をする男女が登場する。

さて、僕の二十歳の日は。

良く覚えていないと思っていたら、突然思い出した。

迷子になったのだ。

それは、寒い日だった。二十歳の記念にと、コンサートのチケットを買った。ジョイントコンサートだったと思う。沢山のプレイヤーが代わる代わるに登場してうたを歌うやつだ。

会場は名の知られた場所だったと思う。だから、調べもせずに家を出た。

そのころは安アパートでキャベツを食べて暮していた。

コンサートを期待してた訳ではない。かといって、隙間風が寒いアパートにいるのも耐えられず、夜の町に出かけた。

京浜東北線にのり横浜方面に向った。もちろん下りるべき駅は決まっていた。迷うはずがない。有名な会場だ。

目的の駅に降りると、浜風が冷たい。道行く人は家路を急ぎ、コンサート会場に向う人には見えなかった。

しかし、明かりの見える方に進めばきっとそれがあると信じて急いだ。

右に曲がり左に曲がり、進めば進むほど町は寂しくなる。このまま進んでもどこにも着かないことは分かっていたがもう戻れなくなっていた。

そして着いた。

そこは、明るい港が見える工業地帯だった。

なんだかこうなることは分かっていたような気分がした。そして、チケットを取り出して一文字づつ読み返した。

僕のいる場所のすぐ近くで楽しそうにうたを歌い楽しんでいる人がいる。その近くで二十歳の日を過ごした。

それから1時間ほど歩き、ただただ歩き駅に着いた。

家に帰ってきた時には、もう二十歳ではない自分がいた。

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