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2008年7月 3日 (木曜日)

食べちゃうぞー

生意気な女の子に向かって太郎は、「食べちゃうぞー」と叫んだ。

だって、わがままで、自分勝手で、乱暴で、アイスを一人で食べちゃう。

もう一度大きな声で叫んだ。

しかし

食べたらどうなるのだろう?

自分の中に女の子が入ってきて、女の子が自分になるのだろうか。いや、食べたつもりでも、食べてしまった女の子が自分を逆に食べてしまったらどうなるのだろう。

そうだ、食べるのは止めよう。

じゃあどうしよう。

逃げようか。

お父さんが言っていた。「逃げるのが一番だ」と。

しかし、お父さんは足が遅い。

ズボンのベルトの上にお腹が乗っている。「見事な腹だ」といいながら、ポンポンたたく。僕もお父さんに似て、足が遅い。あーあ。いやだな。

でも、あの子は足が速い。角を曲がって、逃げ切って、ホッとする。でも、歩いていたら、次の角を曲がらないといけない。その角で待ち伏せしていたら逃げ切れないだろう。だって、あの子は足が速いんだから。

ああ、これも止めよう。

忘れてしまおうか。

お母さんが言っていた。「嫌なことは忘れなさい」と。

でも、お母さんは、忘れたといっているのに、すぐにブツブツ文句を言っている。隣のおばさんにまで、1時間も立ち話をして悪口言っている。お父さんがビールを飲んでいる横に座ってまで文句を言っている。お父さんが「ビールが不味くなるから向こうへ行け」と言っても、座って文句をいい続けている。

きっと忘れられないのだと思う。

嫌なことほど忘れられないのだろう。

これも駄目だ。

向こうから、女の子がやってきた。

すごく小さな声で、「食べちゃうぞー」と言ってみた。

すぐそばまで来たので、

つい、

「ごめん」と言ってしまった。

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