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2007年7月21日 (土曜日)

見ざるが花

宮部みゆきの「火車」を読んだ。

読みやすかったので、すぐに引き込まれた。

休養中の刑事が人を探す物語。

物語にとって必然性が大事であり、取って付けたような出来事はいらないし、余計な説教も無用だ。

消えた年金や、相続人を探す仕事をしている僕にとって、今だけでなく、その人の過去によって現在が築かれているということを改めて知ることになった。

いろいろと調べていくと、いろいろなことが分かってくる。

わかったほうがいいこともあれば、わからないほうがいいこともある。

小さな事実の積み重ねによって人生が出来上がっているということであり、小説よりも現実のほうが面白かったりする。

今日も老人ホームを訪問し、クライアントに会ってきた。

認知症で寝たきりのその人からは、事実を聞くことはできないと思いがちである。しかし、そうでもないのかもしれないと思っている。

僕の手を握り一生懸命に声を出す姿は事実であり、こちらが聞きたいとこを話さないからと言って、何も訴えていないということではないのだろう。

その悲しそうな瞳で何かを訴えている。それを受け止めることができるかどうかは、見つめる僕の力にかかっている。

本間刑事はいう、「もう追いかけるのはやめようか。しかし、仕事柄そうもいかない」と。

僕らは刑事ではない。追いかける必要もないものを追いかけているときがある。見たほうがいいものか、見ないほうがいいのか、それさえわからないまま、追いかけているのかもしれない。

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