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2006年2月 1日 (水曜日)

目に見えない友達

友達の京子さん(仮名)と話をしていた。

「男の人って、友達が少ないでしょ。最近、友人と話をしていて、誰の旦那が一番友達が少ないか話していたのよ」

「そう」

「うちの旦那なんか、私しか友達がいないのよ」

なんと答えていいか分からない。

「女の人は友達が多いでしょう」と、少しゴマをすっておいた。

「そうなのよ。こないだもイチゴをもらったのよ」と、携帯でイチゴを写真を見せられた。

「美味しそうですね」と、答えておいた。

「さいとうさんは友達多いでしょ」と、聞かれた。

「そんなに多くないですよ」と、謙遜して答えた。そして、すこし気になったので質問した。

「ところで、僕は京子さんの友達ですよね」

「なにいっているのよ、友達じゃないじゃない」

(ココロの奥のほうで音がした)

「そうですよね、なにもあげていないから」と、小さな声で答えた。

「えっ、何か言った」

「いいえ、なんでもないです」

いま友達でなくなった京子さんに答えた。

友達って何だろう。今日は一日そのことを考えていた。

友達ですぐに思い出すのは、サン=テグジュぺリの「星の王子さま」に出てくるきつねの話。

家に帰って本箱から小さな岩波少年文庫を取り出して読んでみる。

王子さまが、きつねに会い、友達になり、別れる話である。言葉にするとそれだけであるが、とても美しい話だ。

初めて気がついたことがあった。今まで、初めに王子さまがきつねに話しかけていたと思っていたが、読んでみると、草の上につっぷして泣いている王子さまに、きつねが話しかけている。「こんにちは」と。

きつねは王子さま以上に寂しかったんだろう。

きつねは言う、「あそべないよ、飼いならされていないから」と。きつねは飼いならして欲しかったんだと思う。だから、強がりを言っている。

きつねの目線で見ると全く別の世界が見えてくる。きつねは、初めからわかっていた。王子さまと別れることを。そして、物語では短い交流になっているが、二人でいろいろと遊んだんだろう。そして、別れる場面になる。

王子さまの髪の毛は金色。きつねは言う。

「金色の麦をみると、あんたを思い出すだろうな。それに、麦を吹く風の音も、おれにゃうれしいだろうな」と。

この本は、子どものために書かれた本ではないとサン=テグジュぺリは言っている。サン=テグジュぺリは、友人を置いてアメリカに渡った。戦火のフランスで寂しい想いをしている友人のレオン・ウェルトを励まそうとこの本は書かれた。

サン=テグジュぺリにとって友人のレオン・ウェルトは遠くフランスにいるのではなく、麦畑の上を吹く風の中にいたのだろう。

僕が持っている本は、親父からもらったものだ。発効日を見ると昭和46年になっている。子どもに絵本をくれるような男でない親父が、中学生の息子に何を伝えようとしたのかは分からない。

しかし、この本を開くと親父を思い出す。

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