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2006年1月 3日 (火曜日)

蛙の王様

蛙の王様

美しいお姫さまが森の近くの湖で大好きな大きな金色のまりで遊んでいました。大きく跳ねたマリが湖に落ちてしまいました。あきらめきれないお姫様が、湖の近くで泣いていると、誰か呼びかける声が聞こえます。声の主は気持ち悪い顔をした緑色の蛙でした。

 蛙は言います。「まりを拾う代わりに何をしてくれますか」と。お姫さまは、「なんでもするわ」と、でたらめを言いました。まりを拾ってくれさえすればよかったのです。

 蛙は、「お姫様の友達になり、お姫さまの隣に座り、お姫さまの皿で食べ、かわいい杯で飲み、夜になったら一緒にベッドに入り寝かせてください」と言いました。お姫さまは約束しました。

 

蛙が金のまりを取ってくると、お姫さまはうれしさのあまり、蛙が呼ぶ声には耳をかさず、さっさとお城に帰ってしまいました。そして、蛙のことなどすぐに忘れてしまいました。

 次の日、お姫さまが王様たちと食事をしているとき、ピチャピチャと大理石の階段を這い上がってくる音がします。お姫さまが戸を開けると緑色の気持ち悪い蛙が座っています。お姫さまはすぐに戸を閉め、席に戻ったのでうすが、どきどきしている様子を察した王様に聞かれ、昨日の出来事を話しました。それを聞いた王様は、「いちど約束をしたことは必ず守らなければいけない」といいました。

 お姫さまが戸を開けると、蛙はピョコンと食卓に乗り、お姫さまの隣で食事を始めました。気持ち悪い蛙が隣にいるだけで、食欲がなくなり、食事が喉を通りません。

 お腹が一杯になった蛙は、「あなたのお部屋に案内してください」といいました。とうとうお姫さまは泣き出しました。そして、王様に助けを求めました。しかし、王様は怒って言いました。「助けてくれたものを後になって知らんかをするのはいけない」と。

 お姫さまはしかたなく、蛙を二本指でつまみ部屋に連れて行き、部屋の隅に置きました。お姫さまが、ベッドに横になると、蛙は「私をそこにあげてください。そうしないと王様にいいますよ」と言いました。

 それを聞いたお姫さまは、本当に怒ってしまい、蛙をつまみあげて思いっきり壁にたたきつけました。

 ところがどうでしょう。蛙が床に落ちると、もう蛙ではなく、若い王様に変わっていました。

 つづく。

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